飲食店で業務用洗剤の使用が危険な理由とは?!リスクを減らす基礎知識

飲食店では当たり前のように業務用洗剤が使われています。
しかし実は、誤った使い方・排水基準の理解不足・強アルカリ洗剤のリスクによって、知らないうちに法令違反に該当するケースがあります。
この記事では、「何が危険で、どうすれば安全なのか」をシンプルにまとめました。
グリストラップに強力な業務用洗剤を使ってはいけない理由
飲食店では、一般的な業務用洗剤をそのままグリストラップ清掃に使っているケースが多くあります。
しかし、実は 市販の業務用洗剤のほとんどは “グリスト専用” ではありません。
ではなぜ、大手メーカーは「グリストラップ専用の強力な洗剤」を出さないのか。
理由はシンプルです。
グリストラップでは油を“溶かして”はいけないからです。
油を強制的に溶かして流すタイプの洗剤(強アルカリ・塩素系)は、
・排水基準の超過
・下水インフラへの悪影響
・配管内の再固着による詰まり
につながるため、本来は推奨されていません。
さらに、強アルカリのような “溶かす系の洗剤” は、流した瞬間は一見キレイに見えますが、
実際には 配管内で濃度が上がり、再固着・詰まりの原因になります。
ここで重要なのが 排水の基準(排水排除基準) です。
飲食店の排水には数値基準があり、飲食店ではそれを知らないまま使っているケースが多いんです。
“酵素分解型の洗浄”が注目されている理由
強アルカリのように「溶かして流す」のではなく、
酵素で油を水溶性物質(水に近い形)に分解しながら流すタイプの洗剤が増えてきました。
酵素分解は油脂をタンパク質レベルに分解するので、pH上昇も起きません。
① pH(酸性・アルカリの強さ) → 5.8〜8.6 を超えるとアウト
飲食店で最も違反しやすいのが pH
- 強アルカリ洗剤(pH12〜14) → 完全にアウト
- 塩素系漂白剤(ハイター類:pH11前後) → 一発で基準オーバー
- 酵素系洗剤(pH7〜8) → 基準内に収まりやすい
強アルカリは 排水口に1回ドバッと流しただけで基準値を超える。
“薄めれば大丈夫” と思われがちだが、実際には 配管の中で濃度が上がり、再固着の原因にも。
第三者機関で排水試験を行い、基準クリアが確認されている製品もあります。
グリスト専用と書かれていない飲食店は業務用洗剤を安易に使ってしまわないように注意しましょう。
強アルカリ洗剤は注意が必要
強アルカリが悪いわけではありません。
問題は
・大量に一気に流す
・油を流す前提で使う
・排水経路を理解せずに使う
ことです。
正しく使えば強力な武器になりますが、
排水基準を理解せず“なんとなく”使うのは危険です。
まとめ:強い洗剤より「安全に使える洗剤」を
飲食店で最も問題になるのは
・排水基準の超過
・油の再固着による詰まり
・衛生チェック時の指摘
の3つです。
強アルカリは一時的に油を落とす力は強いですが、排水トラブルを招く可能性があります。
一方で酵素分解型の洗剤は、油を時間をかけて分解するためトラブルが起こりにくく、第三者機関のテストでも安全性が確認されているものもあります。
「強さ」ではなく、安全に使えるかどうかで選ぶことが、飲食店にとって最もコスパが良い選択です。
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