【飲食店の換気扇の悪臭を完全除去する方法】|プロが実践する対策

1. なぜ換気扇やダクトが臭うのか?
飲食店の換気扇が発する臭いの大半は、酸化した油煙が原因です。
調理中に発生した油煙がファンやダクト内に付着し、時間の経過とともに酸化し、
独特の「焦げ臭」「酸っぱさ」などの異臭を放ちます。
また、換気効率が悪い店舗では湿気と油が混ざりカビが繁殖するケースも多く、
これが「生臭い」「こもった臭い」として感じられます。
実は、「厨房の悪臭=グリストラップ」と考える人が多いのですが、
原因がグリストではなく、換気扇やダクトにあるケースも非常に多いです。
換気系の臭いは空気の流れに乗って客席や通路全体に拡散します。
そのため、厨房の臭い、ホールへの流出を完全に解消したいなら、まずは換気経路を疑うべきです。
👉 グリストラップの悪臭対策についてはこちらの記事で詳しく解説。
2. 悪臭の種類と見分け方
| 臭いの種類 | 主な発生源 | 特徴 | 対応方針 |
|---|---|---|---|
| 焦げ臭・油臭 | ファン羽根・ダクト内の油酸化物 | 調理後でも残る焦げた臭い | 脱脂+酸化被膜除去 |
| カビ臭・湿気臭 | フィルター裏やダクト内の結露・埃 | 湿っぽく酸っぱい臭い | 除菌・乾燥・防カビ |
| 排気逆流臭 | 外壁ダクト口・モーター周辺 | 排気がうまく抜けず戻る臭い | 吸気・排気バランス調整 |
| 下流からの混合臭 | グリストや配管経由の臭気逆流 | 厨房全体に漂う油臭+下水臭 | 排水経路点検・気密化 (👉 グリストの悪臭対策はこちら) |
臭いのタイプを見極めることが、正しい対策を選ぶ第一歩です。
3. 業者任せにする前にできる3つの基本ケアと料金
① フィルターの脱脂洗浄(1枚あたり 2,000〜4,000円)
- アルミ・スチール製フィルターは中性〜弱アルカリの脱脂剤でつけ置き洗い。
- 40〜50℃のお湯に10〜20分浸すと、油脂が軟化して落ちやすくなる。
- 強アルカリ(苛性ソーダ系)は金属腐食の恐れがあるため使用NG。
② ファン羽根・ケーシングの清掃(1基あたり 10,000〜25,000円)
- 羽根に油が厚く付着すると風量が落ち、排気効率が低下して臭いがこもる。
- 羽根を外せるタイプは、脱脂後に中性洗剤でリンス仕上げ。
- 取り外せないタイプは専用ブラシで手前から奥へ汚れを掻き出す。
③ 外気口・ダクト出口の清掃(1箇所あたり 5,000〜15,000円)
- 外壁側の排気口が塞がっていると排気が逆流して厨房内に臭いが戻る。
- 鳥の巣・埃・油汚れが詰まっていないか半年に1回は確認。
一般的な飲食店での換気系清掃は、1回あたり2〜4万円前後が相場。
ただしファンやダクト内部の油層が厚い場合は高圧スチーム施工で10万円を超えることもあります。
定期契約にすれば1回あたりのコストは半額以下に抑えられるため、月1〜2回の軽清掃+年1回の徹底洗浄が理想的です。
4. 換気扇の悪臭を根本から断つ「構造別アプローチ」
■ 天吊り型(レンジフードタイプ)
- フィルター・ファン・内部壁面を脱脂→中和→乾燥の3工程で処理。
- 脱脂工程では40〜50℃のお湯に中性〜弱アルカリ性の脱脂剤を溶かし、10〜20分つけ置き。
- 油膜を落とすだけでなく、酸化被膜(茶色いベタつき)を中和するのがポイント。
- 酸化した油の膜には弱酸性のクエン酸水で拭き上げると再酸化を防げる。
■ ダクト型(排気筒タイプ)
- ダクト内部は外見が綺麗でも内部に厚い油層が残っている場合が多い。
- 3〜6ヶ月に一度、業者による高温スチーム洗浄+吸引が必須。
- 臭いが強い場合、排気ファン側で油煙が焼け焦げている可能性もあるため、交換検討。
■ 外気吸気不良タイプ(臭いが戻るケース)
- 厨房とホールの吸気・排気バランスが崩れると、排気が逆流して臭いが戻る。
- 新鮮空気の吸入口が閉塞していないかチェック。
- 小型送風機を設置することで、負圧を抑えて再循環を防げる。
5. 清掃後も臭う場合に確認すべきポイント
清掃後に臭いが残る場合は、以下のような“見落とし箇所”が多いです。
| 見落とし箇所 | 臭いの原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ダクト内部の中間接続部 | 油が滞留・酸化 | 業者洗浄+脱臭フィルター設置 |
| モーター周辺の埃 | 油と埃が焦げ臭を発生 | 分解清掃+潤滑剤の拭き取り |
| 換気フード内の裏面 | 油が垂れ残り再酸化 | 中性洗浄+アルコール仕上げ |
| 排気経路の断熱材 | 吸着した油分が加熱臭を放つ | 断熱材交換・防臭材追加 |
臭いを完全に断ち切るには、物理的除去+酸化防止+気流改善の三位一体が重要です。
6. プロが教える清掃頻度とメンテナンスサイクル
| 作業内容 | 頻度 | 目的 |
|---|---|---|
| フィルター脱脂洗浄 | 月2回 | 油膜の酸化防止 |
| ファン羽根清掃 | 月1回 | 風量維持・焦げ臭防止 |
| ダクト内部洗浄 | 半年〜1年ごと | 酸化油除去・火災防止 |
| 外気口・排気出口点検 | 月1回 | 排気バランス維持 |
| 臭気点検(客席側含む) | 月1回 | 拡散臭早期発見 |
飲食店の臭い管理は“見える油”よりも見えない酸化層の対処がカギです。
まとめ:飲食店の「臭い問題」は、根本原因を断つことが大切
飲食店の悪臭対策は、単に「掃除の頻度」を上げるだけでは解決しません。
重要なのは、どこから臭いが発生しているかを正確に見極め、それぞれの原因に適した清掃を行うこと。
このブログでは、飲食店専門の清掃ノウハウを体系的に解説しています。
各設備の清掃方法、そしてプロが実際に使う洗浄器具まで網羅。
さらに、15年の歳月をかけて開発された「劇薬を使わないグリストラップ洗剤」についても紹介しています。
この洗剤は、全国5,000店舗以上で採用され、今では「油臭・詰まり・環境負荷」を同時に解決できる唯一の製品として注目されています。
👉 グリストラップの悪臭・詰まりに悩む方は、こちらの記事もご覧ください。
悪臭が消えると話題のグリストラップ用洗剤を調査してみた

